ご好評をいただきましたパート1
こちらの記事に続きまして、もっと専門的に踏み込んだ三面図の読み方、書いてみたいと思います。
・豚ちゃんを上右左下から見た図が三面図
~FIN~
例えばこのような図面があったとしましょう。豚ちゃんに胴体等がついたこの図面。
こんな図面現実には存在しないので、寸法表記と頭部詳細は省略させていただきます。
図中の誤字脱字及びその修正が乱雑であることを深くお詫び申し上げます。
三面図を読んだことが無い方が読むと、大体こんな感じかな?って予想が下記の画像になると思います。
これが三面図の落とし穴なんだわ、
先入観。
豚のおもちゃやぬいぐるみからくる、先入観。なんか丸そうな感じのする豚という概念の先入観。
その脳内、違いまぁすっっっ
というわけで、「三面図だったらこの豚はどう設計されていると読み取れるのか」を詳しく見ていきましょう。
(この豚はどう設計されていると読み取れるか…うーん、人生で二度と使うことがないフレーズトップ5に入れておきましょうね)
まず注目するのは【正面図】。何やら「手×2」「胴体」「足×2」で構成されていそうなのは分かりますね。
ではこの各パーツを読み解きましょう。
- L字を90度に回転させたような形で注記もなければ素材指定の文脈もない
- 右側面図から見ると外形が四角である
上記のことから形は「L字を90度回転させ、かつ一枚の平板から作られている」ことが分かりますね。
大事なのは「これが丸棒でも角棒でもなく、平板からただL字にブランクしただけのもの」ということです。
簡単簡単、次いきましょう。
(追記・大変申し訳ございません。上面図から見えるはずの手の外形が記入されておりませんでした。改版としますので図面は追っていたします。)
- 正面図では四角い板に見える
- 上面図に指示がある「□30」
1の認識で作ると間違います。
良く見ると左右側面図から見ても四角い形をしていますね?ということは少なくとも正面・左右から見て「四角」であることが考えられます。
上面図の指示□30を見ましょう。
(また誤字ってごにょごにょしてるよ…)
こちらは4辺が30の長さで作られた角パイプ、を示しています。
なるほど、胴体は角パイプでできていたんですね!
そして豚ちゃんの頭部にくっついてる感じ、と!
大切なのは「曲げでも一枚の板でもない角パイプを使用した胴体」ということ。
曲げ展開をしてL字を二枚張り合わせて作ってはだめです、基本的には。□30というのは角パイプ指定の書き方なので、似たようなものを作ったとしてもそれを使って構成してはいけません。
大体強度絡みで指定されることが多いですね。
曲げLアングルを二個合わせて溶接しても専門の知識と技量(もしくは機械)が無いと強度クリアできないです。
- 正面図から見ると細い棒に見える
- 右側面図から見ると割と幅(長さ)のある四角形に見える
- 下面図からみると角パイプと同じ長さで切られている
正面図ではただの棒または細くて長方形の板、に見えた図が
右側面図で正体を現しています。
実は、棒でも細い長方形でもなく、割と幅のある一枚板だったのです!!!
そして注目してほしいのは「角パイプと同じ長さで切られている」こと。
角パイプの寸法はいくつでしたっけね。
□30。一辺が30で作られた角パイプに、ちょうどつくような過不足ないサイズ感…。
ということはこの板の幅も30であることがわかってしまうんですね!!
正面図では何となくついていただけの足に急に存在感が!結構肉厚幅広っ。
★まとめ★
さぁ、どうでしょうか。細かいところは省略させてもらっていますが最初に思い描いた図とは大分皆様違ったのではないでしょうか?
そんなことないよっ初見でも大体わかっちゃったしっって人はこの仕事向いてるからウチで働きなさいっ!
こんな感じになります、概要。
ごめん完全に角パイプ30の図ミスってるわ。
30×30だからホントはホントに正方形だよっごめんね★
皆様、読めてきちゃいましたか?三面図。
パート1に比べると随分きちんと「読図」に入ったと思いますけどいかがでしょうか?豚の図面で言われても説得力ない?
きちんと製品や製品に近しい図面でもそのうちにやりましょうね。
三面図が読めると、空間認識能力が飛躍的にアップしますよ!
頭の中でここの面がどう立ち上がって、どっち向いてて、上下左右から見ての統合性は、常に頭の中でルービックキューブの細目をぐるぐるしてる感じですからそりゃそうなりますよね。
2D図面だと初見でピンとこない形が頭の中で組みあがっていくのは謎解きのような快感があって個人的には好きです。
最近では三面図よりも3DCADというデータを使って図面を読まずに展開することも増えてきたと聞きますがね→関連記事「板金業界の最新技術を考える」
図面を使わずに設計し、モデリングし、展開からバラシ(溶接部など結合部干渉の検証など)をPC上でデータにまとめ、加工先にもそのままデータで渡す。
これ以上ここで書いちゃダメだ、せっかく三面図を読めるようになった読者の皆様が匙を投げてしまう!!御口にチャーーーーック!!!
というわけでお疲れ様でした、また皆さんで読図しましょう。三面図は楽しいよ!!!!
この記事を書いた人系の編集テキスト
うちだ あいり
毎回ここのコメント変えてるの知ってる?