板金にも、トレンドがある。
板金業界というは意外と流行り廃れが激しい。
というよりも最新のテクノロジーの進化が目覚ましいのだ。
そのテクノロジーの恩恵をあやかるのはまず我々「作業員」であり、作業効率を上げ負担をグッと減らしてくれる。
我々の先輩が見たら驚くほどの進化、神の領域である。
そしてそのテクノロジーが次に与えるのは「消費者への恩恵」だと私は思う。
作業効率がよくなり、負担の減った製品が量産されると、低コストで高品質が確保されるようになるからだ。
え、今回真面目すぎるんじゃないかって?
たまにはいいじゃん??まともな記事も書いてみたかったんだよね、いつでも書けばいいんだけどね。
というわけで、今回は板金業界のトレンドについてのブログ。
レーザー・タレパンであれば複合機、わが社のC1も半自動といって過言ではないと思う。
↓過去記事・複合機のオペレーターにインタビューしてきたよ↓
ベンダー、「ATC(AUTO TOOL CHANGER)」「ロボットベンダー」こちらも半自動と、ほぼ全自動のラインナップである。
↓過去記事・ベンダー紹介↓
溶接ロボット…はわが社には無いのでリンクを貼っておきます。AMADAさん。
ロボットに作業を代わってもらい、人でしかできない細やかな作業を進めることができ、
作業員としては言いたくないが経営側としてなら言いたい人件費の削減にも有効。
機械加工の板金における時代は「機械オペ職人」となってきている。
ロボットを含めた「マシン」を一人が掛け持ってオペレーションし、「マシン」が動いている間に人の作業をしていく。
ブランク・ベンド・溶接、どの部署でもこれから先そのような運用方法になっていくのは時間の問題だと思う。
(よって継承者問題や人手不足問題は、問題課題自体のポイントが集中的になっていくことだろう、解決とも違うがあちらこちら手つかずの問題よりかは解決に向けてピンポイントで対処できるようになることと思う、そう願いたい)
具体的にいうなれば
本来手打ちでGコードと呼ばれるNCマシン専用の言語をプログラミングしていたが、まずは座標で画面上に表せる2DCADになった。
わが社で使っているのは主にこちらの2DCADである。
2Dとは言えど簡易的な3Dモデリングもできるし、面と面の張り合わせ展開や、重ね合わせた部分を立体の3Dモデルから直接切り込んだりできる機能までついている。
↓過去記事・CAD/CAMってなあに?↓
今までは
①設計して図面をおこす
②図面を読み解きながら展開図(平面上でどうなるか)を2DCADでおこす
③展開図と他部品の嵌合を計算しながら調整してCAMへうつる
だったのが
①3D(立体)モデルとして設計していくと同時に立体モデルから嵌合や重ね合わせを調整してCAMへ
というような流れに変わろうとしている。
その3Dデータは会社間で送付読み込みもできるので、既製品であればデータそのままいじらずにCAMへ移行することも可能だ。
これにより「読図(図面を読み解くこと)」の時間が激減される。
=、プログラム費用(人件費×時間)が大幅にカットされ、製品の単価にも影響がでてくる、ということだ。
また1の項目であげた「ロボ」に関するところでもこのCAD/CAMの発達により
「ボール面取り」(複合機で割り付けるときにバリ取り用の金型を指示してやることにより、ブランクあがりがバリ取りあがりになる)や「ジョイントレス」(その名の通り、ジョイントがなくなる、バラシの時間が無くなる)など、
いままでおよそ人の手で行っていた作業がボタン数個で完結するようになった。
あくまで量産品でしか本領を発揮できない面も多いが、このロボティクスとCAD/CAMの関係性がより密接に、そして高度なものになってきている。
量産品というのをわが社では有難く制作させていただくことが多い。
月産台数がおよそ決まっていて1年を通すとその見込みがわかるくらいの量産品だ。
時代はそれとは別の道を進み始めている。
コロナ以降の景気や、流通の波に呼応するかのように「オリジナル」「個別使用」「特注品」などの形が増えてきた。
決してシリーズものの「特注」ではなく、
一個人がブランドを立ち上げたり、オリジナルの製品を制作したいという要望が増えたのだ。
少し前になるが「キャンプブーム」、これは板金専売特許のものが多く、持ち込みの図案や商品化、色々な立ち上げを聞くことが多かった。
もちろん量産品でないかぎり板金の価格相場というのはかなり高い方なのだが
(少なくともホームセンターになる量産品の何倍もの価格がオーダーメイドには必要になる)
それでも自分のブランドのコンセプトやデザイン、それを実現するにあたっての費用であれば構わない、というお客様が増えたのだ。
「安く・多く」と正反対の「高く・少なく」。
ただそこに価値が生まれるのはまた必然であり、
選択肢があるから、どちらともにも価値が生まれる。
売り出す双方にとって必要な素敵な循環だと思う。
安くていいもの、高くていいもの、安くて悪いもの、高くてそこそこのもの、それらを見極める消費者の力も鋭く、自分の価値観に基づいた判断が明確になってきている気がする。
ごめんもう疲れてきた。けど書くわ、デジタル化大好きだから書くわ。
「現場に紙の図面を回して生産と管理」
から
「I pad(一例)に取り込んだ図面をその場で呼び出して仕様変更があればその場で画像データに書き込んで保存・進捗はバーコードか機械のオート」
というまさにデジタル化が進んだ。
今までデジタルは事務方のものであり、現場ではアナログ媒体が飛び交っているのが常識だった。
現場に進捗管理以外のパソコンやソフトは不要、携帯は私用でしかありえない
から
現場指示を見るためにタブレットを開き、進捗や予定をスマホで管理する時代になったのだ。
もちろんかかるセキュリティ対策などの費用もあるが、
それにかえてもアナログ媒体にはできないクラウドバックアップやリアルタイム更新などメリットが大きい。
図面という貴重な財産を「検索」すれば自社のクラウドから瞬時に引っ張り出せるのも便利だ。
私はデジタル真っ盛りな世代ではないが、その推移を見てきた世代だと思う。
ゲームボーイからカラーへ、アドバンスからspへ、dsから3dsへ。
故にその利便性は熟知している、できれば町工場にももっとデジタルの良さを分かってほしい。
ただ、わが社のような小さな町工場に大事なのはアナログとデジタルの共存そして共存バランスだと思う。
全てデジタルにしたから良いわけではない、融通を聞かせたいところはあくまでアナログで、
それ以外の大きな枠をデジタル化してしまうのが最適解かなと思っている。
わが社で言えば進捗は支給のipod/iphoneでとるが、当日の出荷積み込みリストは印刷して現物を合わせながら手で消し込んでいる。
進捗自体はとりたいが、至急性が無い、制作の最中か後日の確認用。
積み込みリストは当日の出荷で合わせなければならないので、至急性があり、その場での確認が必須。
このバランスの見極めによって、アナログ・即効性があり一目瞭然・を採用するかデジタル・即効性が薄いが蓄積型データになる・を採用するかを考える。
各職場によってこのバランスの比重が異なるため、そこのアンドンを職場の大多数人数でとっておく必要があると思うのだ。
思うのだ…。
思うんだよ。。。。
真面目な記事は筆が乗るけど、向かい合いすぎて疲れちゃう…だって女の子(33)だもん。
というわけで、まじめにお送りました。
板金業界のトレンド・行く末考察。
また気が向いたらやります。以上、お世話になりました…。
この記事を書いた人
うちだ あいり
スカイリムというゲームを10年近くやっている気がする、魔法のiらんど世代(秘密)