ベンダー。
曲げ機械。板金加工では欠かせない存在、ベンダー。
ブランクした(外形を切り取った)平面鉄板を、立体へと変えていく工程です。
最近のベンダーの進化には目を見張るものがありますよ。
ベンド(曲げ)と似たカテゴリで「プレス」という工程がありますが、
プレスは型押しで成形をし、ベンドは折り曲げで成形をするという特徴があります。
型押し、すなわちプレスはコップの底面を作るような工程であり
折り曲げすなわち「ベンド」は鉄板を折り紙をしていくような工程です。
武田鈑金にはベンダーが3台(+おまけの2台)とロボットベンダーの5台あるのですが、主要な2種類をご紹介します。
機種紹介①HDSちゃん
こちらは私の愛用するHDSちゃん。サイトのトップページ動画にも堂々と出ていますね、恥ずかしい。
うちの加工サイズにはピッタリのサイズ感で、小サイズ多ロットの時に使います。
普通、普通であり、汎用性の高い1台。ちなみに2台設置しています。
専門的なこというと油圧クランプです確か。違う?
違ったらにわかでごめんなさい…。
もちろん大きいものもそれなりに曲げられるのですが、ベンダー作業員が面倒くさがる「金型交換」が必須です。
(この上下にセットされている、テトリスみたいなのが「金型」)
金型について
ここだけの話ですけどね、重い金型って一個415㎜で約14㎏するんすよ。
800㎜の製品を曲げたいなってなる場合、私愛用のHDSでは14㎏の金型を2セット手で持ち上げて配置するんすよ。
これって拷問に近くないですか????????
まあ曲げ終わったら元の棚に返却するんすけど、
また14㎏×2を持つんすよ。
これって精神的疲労マックスに近くないですか?????????
専門的なこというとダイも一対でセットするのでベンダー経験者ならお判りでしょうけど14㎏×4回くらい上げ下げするんすよ。
経験者ならお判りでしょうけれど、段取り替えであと10ミリ小さくしないと立幅が収まらないときの胸中!!!!!
また変えるのかよ!頼むよ!その工程だけ1踏みしてまた元の金型配置に戻すとかほんとにやめてよ!!
…ってさ、言いたくなるんですよ。(個人の感想です)
(ちなみにごめんなさい、ダイの重さは調べてないです)
そこでATCですよ奥さん、疲れた肩にATC、効きますよ。
機種紹介②ATC
長くて大きめの金型を使用して曲げる製品は全自動金型チェンジャー(ATC)にお任せしていることがおおいですよー。
というわけで主戦力ATC!
AUTO TOOL CHANGER 略してATC、かっくいい。
こちらに金型ラックが収納されていまして、指示書(CAD/CAM回を参照)のバーコードを読み込むと自動で金型が配置されます。
もう本当に便利。
見てれば変えてくれる。世界が変わる。
コーヒー片手にバーコードピッてすれば段取り(金型交換)が完了しちゃう。
実際にコーヒー片手にやってると「次の段取りの図面を見なさい」と上司から怒られると思いますので、くれぐれも図面を広げてからコーヒー片手にツールチェンジの様子を見守りください。
どこがいいのさATC?いい点・悪い点
このツールは画期的ですよねえ、私もたまに使いますけど凄く楽なんですよ。
今やベンダーは女性の進出も多い部門でして
特に女性配属の場合最初にATCを利用することが多いようです。
まぁ私はHDS(14㎏の金型反復)ですけど。
「金型が自動で変えられる」
「図面があまり読めなくてもタッチパネル上に曲げ向きが表示される」
「感覚が乏しくてもリアルタイムで映像の上にガイドを描写してくれるので合わせるだけでいい」
「セーフティーが充実しているので危険度が少ない」
このあたりの観点から新人女性をそのままベンダーに配属する会社様も増えているんですって。
ふーん…。
わかるーーーー!!!
ベンダー、曲げ機械、向き不向き色々ありますけど…
ベンダーをやってる中で楽しいなあって思うことは…
「平面から立体に起こしていく様子が分かりやすい」
「直角や面同士の合わせなどで検査ポイントが自然と頭に入る」
「図面とモノを照らし合わせて読んだり考えられるようになる」
ことだと思います。
どれも鈑金には必要不可欠な要素ですが、一気に学べる部署は数少ないかと思われます。
長々機械紹介と概要説明をしましたが、
ベンダー楽しいよ!!
鉄で折り紙楽しいよ!!
また日常で使われている板金製品とか紹介しながら曲げ加工についてもピックアップしていきたい限りです。
ご拝読ありがとうございました。(唐突な終わり)